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木 村 尚 樹
fine photographic arts

Artist Statement 

世界は、光と空気、そして静けさのゆらぎの中で、そっと姿をあらわす。
私が撮るのは、対象を記録するためでも、感情を語るためでもない。


世界がひらき始めるその瞬間に、ただ立ち会っている。

 

情緒は、内面を表すものではなく、
世界の微かな震えを察知する 知覚の閾(いき) として働いている。
写真に写るのは「見たもの」ではなく、知覚と世界がかすかに重なった、

一度かぎりの現れの痕跡である。

モノクロームは、世界を簡略化するのではなく、
現れが立ち上がる余白をつくる。
その静かな余白の中で、美はつくられるのではなく、そっと生じる。

私はその閾を 零の地平(Zero-Horizon) と呼ぶ。
表象がほどけ、ただ「ある」という気配だけが残る場所。

撮るとは、奪うことではない。
受けとめることである。

私は、その現れの中に、静かに佇んでいる。

 

​                        ​木 村 尚 樹

木 村 尚 樹

fine art photography

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